ジャガード織りにオートクチュールビーズ刺繍を施して作られたカシミールショール
=カシミールショールについて=
インドのカシミール地方の特産として、細かく柔らかなカシミア山羊の毛で織られ、細かい刺繍や美しい模様、高品質の繊維素材が特徴の大型のカシミールショールが古くから知られてきました。このショールは19世紀初めにヨーロッパで大いに流行しました。模様は先端が傾いた水滴型の花文を特徴としますが、このモチーフはスコットランドの地名をとってペイズリー文と呼ばれ、今日でもファッションの世界で根強い人気を保っています。
初期には各色糸を巻き付けた何百本もの細い棒(トジュリ)を用いて2/2の斜模様の綴織 で一枚のショールを作り上げていましたが、生産の効率をあげるために何枚もの布を はぎ合わせたり、 刺繍によるものなどが現われました。 カシミールショールに刺繍の 技術が導入されたのは、19世紀初めで、刺繍のショールならば免税の利点もあったと いいます。 刺繍には全面に施されているものと、 輪郭線や細かい部分などに限られたものとがあります。 ステムステッチを用いて、 輪郭線からかたどりその内部をステッチ で埋め尽していきます。
カシミールショールは長方形と正方形に大別され、両端に色の異なる矩形にアーチを刺繍した縁飾りがつくのが特徴です。
カシミールのアンティークショールは、18世紀から19世紀にかけで作られたものが高く評価されています。 特に、ロイヤルファミリー向けに作られたものはたいへん高価で希少価値があります。